今回の事件は金波宮の官吏たちに表ざたにはならなかったが、使令たちの間では、
班渠が主上の命に逆らえず自分の力が弱まることを知りながら麒麟についたことについて反省会をしていた。
「いや、そういうけどさぁ。俺主上の命令には逆らえないんだよな~。重朔だってそう思うだろ?」
「そうだよな、班渠。俺も、ちょっとそれはって思ってても、今の主上の言うことだったら聞いてしまうんだよ。驃騎はどうだ?」
「うんうん、俺だってそうだぜ?気にするなよ、班渠?」
「ち、ちちぃ」
「ほら、雀瑚もそう言ってるぜ」
「ああ、悪いなみんな。おれ、気を使わせちまった」
「へへーーん。俺、命令聞かなかったことあるよ~」
「なんだよ、冗祐。嘘付け。お前なんか一番べったりじゃないか」
「だってホントだぜ!」
得意げなヒンマンは体を反らした。
えっへん、と言う音が聞こえてきそうなくらいだった。
「俺、雁国の王宮で、主上が王になるかどうか迷っているとき、しゃべっちゃいけないって言われてたんだけど、主上ならきっと王になれるって声をおかけしたんだ!」
自慢げに話す冗祐に、一同は首をかしげる。
「ちょっと待て冗祐?」
「なんだよ」
「それさぁ」
「ああん?」
「ひょっとして、主上の命令じゃないだろ?」
「へ?」
「あーーー! そうだよ! そりゃ台輔の命令だろ!?」
「うわっち、そ、そうだった」
「だったらなあ」
「だよな」
「うん」
「ちいい、ちちい、じゃじゃ、じゃじゃこっこ。ちちい、ちち、ちち、じゃ。じゃっこ、じゃじゃちちちい……」
冗祐の記憶違いは他の使令たちから大いに責められた?らしい。
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